【登壇レポート/2023.12.08】「思春期の子どもの心と体を育む家庭での性教育」第5回

神奈川県川崎市の市民館(公民館)が主催する市民向け講座に、本会代表・柳田を講師として呼んでいただきました。

連続5回講座で、第1回にも講師としてお話する機会がありました。

第1回のレポートはこちらからご覧ください。

第5回でお話した内容

まずは4回目までのおさらい

第1回~第4回までにどのような話が出たのかを、各回スライド1枚の量にまとめて振り返りました。

2回~4回までは担当職員の方にご協力いただき各回の先生方の講演内容(スライドまたはアーカイブ動画)を提供していただき、その内容をもとにポイントをまとめました。

ライフプランに関する話

本題(第5回の内容)に入る前に、ライフプランに関する話をしました。

これは、事前の打ち合わせの段階で第5回に話そうと運営サイドで示し合わせていたものです。

「性教育=自立した主体者として生きるための学びだからこそ、ライフプラン(どう生きていくかの計画)も大事。自分自身でどう生きていくかを選択できる時代になったものの、妊娠出産に関連することにはある程度のリミットがあるため、その知識も織り込みつつ人生を歩んでいきたい。では、子どもへの性教育の観点で親は何を知っておけばいいか?」という主旨で話しました。

  • 今の自分は、中学1年生の時に思い描いていた通りの自分である?
  • そもそも、中学1年生の時にライフプランを考えていた?

という2つの投げかけで自分のことを振り返ってもらい、そこから子どもへの声掛けについて考えました。

子どもへの伝え方

ここから、第5回の本題である「子どもへの伝え方」についてです。

  • 子どもにどう伝えるかについては、「言葉」以外に「日々の振る舞い(から伝わっていくものがある)」もある
  • 「日々の振る舞い(で伝わる)」の裏にある「間身体性」という理論について
  • 親自身の価値観や態度の重要性について

をお伝えしました。

そのあと「いま、家に帰って子どもに一番伝えたいことは何ですか??」という問いかけをしました。

・風呂入れよ
・歯磨けよ
・宿題しろよ
まずはそういった一言レベルでいいので、今一番伝えたいことを、とお願いしました。

それが出揃ったところで一度休憩に入りました。(ここまでで60分です)

子どもへの伝え方(練習編)

休憩後、最初にやったのは、「いま、家に帰って子どもに一番伝えたいこと」を参加者同士で共有すること。

3人組のテーブルに分かれて座っていただいておりましたのでテーブル内でそれぞれ共有してもらいました。

大変盛り上がったあと、「この伝えたいことを、わが子に伝わる形に加工して、みんなの前で発表してみましょう」という練習をしました。

その際に、この練習の目的として次のようなことを説明しました。

今回のように性教育の講座の中で「子どもへの伝え方」というテーマがセットされると、「性の知識の伝え方」を学べる、と期待されることが多いと思います。そうであるならば、今回の講座は期待外れな面があるかもしれません。

他方で、「性のことは伝えづらい」という家庭が日本に多いのも事実です。それは「性のことだから伝えづらい」わけではないと思います。親の恥ずかしいという価値観や態度が子どもに伝わっているからであり、性のことを伝えられるような関係性ができていないからだろうと考えています。

そこで今回の講座では、親自身の価値観や態度の重要性について伝えました。親自身の価値観を振り返ること、態度を磨くこと、親自身が自分の言葉を作ることを練習したいと思ったからです。いきなり性に関する話題でそれは難しいですが、日常的な話題で練習をしてみると良いトレーニングになるのではないかと思います。

このように伝えた後に、伝わる伝え方(言葉の加工の仕方)をいくつか紹介しました。Iメッセージなどです。

「自分が本当に伝えたいことを伝えるんだという真剣な気持ちだけが子どもに伝わる。まずは思いが大事。そのうえで、分かるようにわる整理をテクニックが助けてくれるので、自分の本音を顧みつつ、テクニックも採り入れてみてください」というちょっと抽象的なことも言いましたが、場の雰囲気の中でそれぞれ理解してくださったようでした。

発表タイム

「こんなことを伝えたい」という言葉が出揃った所で、ひとりずつ発表してもらいました。他の参加者からの励ましの言葉やアドバイスなども飛び交ったほか、講師の柳田からもフィードバックを行い、みなさんそれぞれに「子どもに伝える」ということに対して何らかの気付きがあったようでした。

まとめ

伝えたい想いはあるけれど言葉にできずもどかしい。そんな想いのあった参加者もいらっしゃいましたが、他の参加者と対話しつつ言葉にする経験を通して、自分が何を言いたいのかをクリアに自身で理解できた方がいらっしゃったり、「性の知識の伝え方」とは違いましたが、何かを得てもらえる機会にはできたのではないかと思います。参加者みなさまがご家庭でこれからもわが子と対話する時の参考になれば嬉しいです。