【開催レポート/2024.04.21】謙遜のいらない「けん・そんカフェ」(第2回)

もう何年前になるでしょうか。性教育の主張授業の帰り道、駅までとぼとぼ歩きながらふと、アンケートに寄せられたある感想が気になったのをよく覚えています。
「パートナーがいないので私には関係ない」
「二次元しか興味がないので私には関係ない」
このようにわざわざ感想を寄せてくれた生徒さんは、もしかすると孤独やさみしさを表現してくれていたのかもしれません。

今回取り上げたテーマは「孤独・孤立対策×SRHR」

孤独・孤立に関する課題は、社会構造によって生み出される側面があります。ひとりで楽しく暮らしていたら、孤独・孤立は問題になりません。人や社会とのつながり・関係性の中で生じる問題なのです、皮肉にも。

例えば、妊娠中の孤独・孤立。妊娠中、(多くの場合)パートナーや医療関係者など人とのつながりが社会の中に用意されているにも関わらず、妊婦さんはたったひとりで悩むのです。
なぜでしょうか?

4つの要素

参加者同士の対話の中で、"孤独・孤立を身近に感じること"を挙げていったところ、次の4つの要素が見えてきました。
◯時間的距離 :
 「相談窓口の予約が1〜2週間先に」「身近な人の希死念慮を後で知る」
◯空間的距離 :
 「ひとり暮らし」「海外生活」
◯社会的距離 :
 「離職」「家庭/職場内での孤立」
◯心理的距離 :
 「褒められることが減った」「経済的自立がないことが負い目に」

孤独・孤立対策の要点

これらの距離に阻まれたとき、あなたは孤独・孤立の状態にあると言えましょう。そんなとき社会にどのような支援があったら嬉しいですか?
参加者同士の対話から得られたポイントはこの2つ。
◎つながりたいときに、ほどよくつながる
◎安心してひとりでいられる

孤独・孤立を解消するためには“つながり”が必要である一方、そのつながりを強要されたり、望む形とかけ離れたものであったりすると、かえって息苦しくなってしまいます。
つながりたいときに、ほどよくつながる。安心してひとりでいられる。参加者の皆さんから、そんな社会環境を望む声が聴かれました。

結語

孤独感やさみしさを感じるのは、心の弱い人間でもなければ劣っている人間でもありません。

筆者も、なんだかさみしくてたまらなくなって、考えまいとしてもあれこれ思い浮かべてしまう経験なんて幾度となくあるのに、こと孤独な他者に対峙するとそんなことすっかり棚に上げて「孤独を楽しんだらいいじゃない」なんて安直な言葉を向けてしまう。そんな経験を恥じつつ、いつも楽しめるはずのおひとりさま時間が楽しめないとき、あるいは人生の壁にぶつかったときに、ほどよく頼れる先があるというのはずいぶん生きやすくなるものだと、なんだか勇気づけられた気がします。