【登壇レポート/2023.08.27】第42回日本思春期学会学術集会シンポジウム4「男子のリプロダクティブヘルス・ライツ」

第42回日本思春期学会学術集会の中で開催されたシンポジウムに、本会代表・柳田がシンポジストのひとりとして呼んでいただきました。

呼んでいただいたシンポジウム4「男子のリプロダクティブヘルス・ライツ」は泌尿器科医の2名の先生方を座長とし、4名の演者が登壇しました。

全体では90分のシンポジウムで、最初に4人の演者が一人ずつ12~15分の持ち時間で講演しました。その後、座長と全演者でディスカッションとなりました。

登壇者一覧

講演の内容

柳田は、性の健康世界学会をはじめとした海外とのつながりがあることから、「日本では女性のもののように認知されているリプロダクティブヘルス・ライツが、海外ではどう扱われているのか、日本との違いは何か、そこから日本が学べることは何か」といった内容を期待されていました。また、最初の演者でしたので、総論のような話もしました。

[1] 言葉の定義

・「リプロダクティブヘルス」「リプロダクティブライツ」の定義
・この言葉が国際社会に登場した出来事
・この言葉の登場で何が変わったのか

[2] 来歴

・自身の活動歴
・活動の経験の中で見えてきた、「権利」に関する意識がない人に起こりがちな問題について

[3] 海外の事例

時間が限られていたことから、オーストラリアの事例に絞って紹介しました。

[4] 海外の事例からの学びと仮説

・「ライツ(権利)」について学ぶ重要性
・男性のリプロダクティブヘルスが女性のそれよりも優先度が低い理由の仮説
・男性のリプロダクティブヘルスライツの課題の例

[5] 男性のリプロダクティブヘルス・ライツを考える前に...

押さえておきたいワードを紹介
 ・尊厳
 ・自己決定
 ・権利と責任
 ・私もOK、あなたもOK

ディスカッション

続く3名の先生方の講演があった後、座長と4名の演者の合計6名でのディスカッションとなりました。

会場からの質問やコメントにも答えつつ、それぞれの演者が自身の専門性や持ち味を活かしたディスカッションの時間となりました。

オーディエンスの反応

今回は学会という場であり、普段のような感想アンケートは取れないため、聴いてくださった方が具体的にどういったことを感じ考えたかは分かりません。しかしながら朝9:00開始の一番最初のセッションに立ち見が出るくらいの人が来て下さったのは、このテーマに対する関心の高さゆえだろうと思います。また、各演者の話に力強く頷く方がいて下さったこと、活発に質問やコメントが出たこと、「ドッ!」という笑いが何度か起こったことなどから、好意的に受け取られたものと思われます。

まとめ

講演前から柳田は「海外の事例そのものを見るだけでは期待するような効果は出ず、価値観や、価値観に裏打ちされた態度が変わることによって、海外の事例の見え方や理解の深さが変わるだろう。また、それらが変われば性教育や日々の仕事の実践も変わるだろう」と言っていました。その言葉通り、「尊厳」や「権利と責任」といった言葉を取り上げて、「リプロダクティブヘルス・ライツを学ぶためにはこういった概念の理解も欠かせない」と伝えられたことは意味があったのではないかと思います。